躍動

2025年03月26日

2024年度 JIA東海支部設計競技 ゲスト審査員特別賞

vol.112

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻4年

諸江ゼミの学生2人による共同設計作品が
ゲスト審査員特別賞を受賞しました。

 創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻の諸江ゼミに所属する4年生の田口廣さん、髙木智織さんが共同設計で制作した作品が、2024年度JIA東海支部設計競技でゲスト審査員特別賞を受賞しました。「終(しま)い/住まい」という課題で、田口さんと髙木さんは「終住回顧(しゅうじゅうかいこ)」という作品を制作。祖父母が亡くなったことをきっかけに、「終い」に直面してしまった祖父母家について、設計者自身の経験をもとに転機となった出来事を抽出し、付随する空間を再設計した作品です。田口さん、髙木さんの2人に、コンペティションを通した感想を伺いました。

■JIA東海支部設計競技
2024年 第40回設計競技 詳しくはこちら>

 家主がいなくなったことで点が打たれたように終わりを迎えた建築について考えてみたいというところから制作をスタートしました。中には老朽化によって解体されてしまった建物もあるのですが、もしそれが残っていて、設計により何か新しい形を持っていたとしたら、その後どうなっていただろうか。祖父母の日常にも、何か変化が起きていたのではないだろうか。「過去に戻って、未来のことを設計する」というのは矛盾しているようですが、過去を客観視したり状況を整理したりするのに大事なことだと改めて思いましたし、それを建築という形に落とし込むことで他人と共有できるツールになり、さらにアイデアを発展させていけるのだと感じました。

 私は、初めは何も知らない状態からのスタートだったので、田口さんや彼の両親から話を聞いたり、現地に足を運んだりして、リサーチを重ねました。第三者である私が介入することで、当事者でない者の目線が入り、田口さんとは少し違った角度で物事を見て、意見を出し合い、共同設計していきました。制作を終えて、この先の仕事につながる経験ができたと感じました。たとえば、クライアントの今まで住んできた記憶や過去を、コミュニケーションを重ねながら一緒に遡っていくことで、これからの住まいを考えるヒントにしていくということが一つの手法になるのでは、と思い至ったからです。今回の制作を通して、自分の中で将来につながる手がかりを見つけることができました。