躍動

2021年12月23日

瀬戸市美術展で奨励賞と入選を受賞。制作を通じて教員に求められる人間力を養うことができました。

vol.86

文学部 教育学科 4年(2021年度)

第74回瀬戸市美術展で、文学部 教育学科 山本ゼミの野々山さんが奨励賞を受賞し、古里さん細井さんが入選しました。それぞれ、ゼミでの学びや学生生活についてお話を伺いました。

【奨励賞】

個性を味方につけて、自分らしい作品を創り上げることができました。

瀬戸市美術展で奨励賞と入選を受賞。制作を通じて教員に求められる人間力を養うことができました。

文学部 教育学科 4年 野々山綾乃さん

 私はあまり、勉強が得意な子どもではありませんでした。だからこそ、勉強が苦手な子どもの気持ちがわかるし、その気持ちに寄り添いたいと教育の道へ。そして、1年次の学校教育体験を経て「教える」という事にとことんこだわり、つくることが昔から好きだったので、教育教材などをつくる企業などに興味を持ちました。将来の事も考えて、図画工作ゼミである山本和久先生のゼミを選択しました。
 山本ゼミは、自分自身でさまざまなジャンルの創作作品を作ることが特徴です。4年次には、大型の絵画作品の創作にチャレンジ。そうして完成したのが、パズルのような動物の絵。カラフルに仕上げたのは、コロナ禍の鬱々とした気分が少しでも晴れればと思ったからです。個性的な作品を作りたいという思いもありました。この、「個性が光る作品をつくりたい」という気持ちが届き、今回、奨励賞という素晴らしい賞をいただくことができました。自信にもなり、山本先生や両親も喜んでくれて、とてもうれしく感じています。
 卒業後は念願かない、教材制作・販売の会社に勤めます。その時も、今回の瀬戸市美術展に向けて制作した時と同じ「個性を大切にする」というマインドを持ち続け、プラスアルファの提案ができる社会人になりたいと思います。

【入選】

私も山本先生のように、「子どもたちにとっての居場所」になりたい。

瀬戸市美術展で奨励賞と入選を受賞。制作を通じて教員に求められる人間力を養うことができました。

文学部 教育学科 4年 古里麻貴さん

 山本ゼミに入って、大学に来ることが今までよりももっと楽しくなりました。それは、「居場所」ができたから。私は、実は図画工作が苦手で、「教科」の観点でゼミを選ぶなら算数でしたし、一番選ばないだろう教科が図画工作でした。けれど、山本先生のお人柄に触れて、この先生のもとで学びたいと思い、創作活動に苦手意識を持ちながらも、このゼミの扉をたたきました。
 今回の瀬戸市美術展に向けた創作活動も、自分の身の丈にあったモチーフを選び、さらに「今日はここまでやろう」と自分の気持ちに負荷がかからない程度の「程よい目標」を掲げて、一歩一歩コツコツと進めていきました。進捗は遅かったかもしれませんが、途中で投げ出すことなく、完成させることができました。こだわりのポイントは、今までゼミで習った技法をふんだんに取り入れたこと。今まで、「絵は筆で描くもの」と思い込んでいましたが、エアブラシというスプレーのような道具を使ったり、筆を指ではじいて水しぶきのような模様を描きこむ「ドリッピング」という手法も取り入れました。「こんなに自由に描いていいんだ」という気づきは、私の図工への苦手意識を少し緩和してくれました。そして、「一概に嫌い」とまとめてはいけないということも気づきました。つまり、図画工作のこういうところは苦手だけど、こういうところは好きだなと思えるようになりましたし、そうやって多様な側面を捉えることが大事だと思ったのです。子どもたちにも「好きか嫌いではなく、物事のいろんな側面を捉えよう」と伝えていきたいです。

【入選】

図画工作を通じて「まずはやってみよう」という挑戦の気持ちを育みたい。

瀬戸市美術展で奨励賞と入選を受賞。制作を通じて教員に求められる人間力を養うことができました。

文学部 教育学科 4年 細井彩位さん

 小学校の教科の中でいちばん図画工作が好きだったので、ゼミ選びの際は、迷わず図画工作ゼミの山本ゼミに入りました。このゼミでは、たくさんの創作活動を通じて、技法はもちろん、子どもたちへの指導法を学んでいきます。挑戦したジャンルは絵画のほかに、陶芸や和紙を使ったランプシェード制作など、実にさまざま。ゼミを通じて、初めて「図画工作を教える側」の立場になって、教員として大切にすべきポイントが本当に多くあるんだと、驚きを持って実感しています。
 今回、展覧会に向けて挑戦したのは、油絵です。どんな画材を使ってもOKだったのですが、今までやったことないことをやってみたいと、人生初の油絵に取り組みました。油絵は絵の具の溶き方が、多く普及しているアクリル絵の具と違うため、思い通りの色をつくることにとても苦労しました。当初、空の色がもう少し暗かったのですが、どうしても納得ができずに、再トライ。色を何度も塗り重ねられるという油絵の具の特性を味方に、納得するまでやり切ることができました。その結果、自分が求めている夏ののんびりとした時間が流れる一瞬を表現できたように思います。
 初めてのことに挑戦し、最後までやり切った経験は、子どもたちと接する際に大いに役立ちそうです。図画工作は、特に「上手な絵を描かないと」「上手につくらないと」という「完璧を求める気持ち」が原因で、図画工作を嫌いになってしまう子どもも多くいると感じています。そうではなく、まずは挑戦してほしい。そういったエールを贈る時、今回の挑戦の経験を活かしていきたいです。