躍動

2022年01月12日

大学生活の集大成が、日本インテリア学会 第28回卒業作品展2021で特別賞を受賞しました。

vol.88

創造表現学部 創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻OB[2020年度卒]

多角的に学び、アイデアを形にするおもしろさに目覚める。

 もともと旅行が好きで、旅先の建築物を見ることが好きでした。特にリノベーションされた建築や昔ながらの建築が好きです。大学でも空間デザインに関することを学びたいと、愛知淑徳大学の創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻を選びました。愛知淑徳大学を選んだのは、他大学の建築系の学部とは違い、建築だけにとどまらず、空間やデザイン、表現について広く学べると感じたからです。入学後は建築を軸足にしながらもさまざまな角度から、アイデアを形にする力を磨くことができました。
 入学してわかったことは、自分は思っている以上にパースや図面を描くのが苦手ということです。けれど、その一方、多角的な学びを通じて、自分はアイデアを考えることが好きなのだと気づきました。きっかけは、3年次に履修したデザインワークショップです。この授業は、現役の建築家の展覧会を学内で実施するために、企画から空間設計・施工・広報まですべて自分たちでおこなう実践型の授業です。展覧会の出展者である建築家の方にご指導いただきながら、会場をつくりあげていくことができる建築・インテリアデザイン専攻の一大プロジェクトです

 今まで自分の提案に自信がなかったのですが、この授業を通じて、長期間一つのプロジェクトに携わることで「自分のアイデアをもっと知ってもらいたい」という欲のようなものが、ふつふつと湧いてきました。仲間と本気でぶつかり合いながら、自分の意見を主張したり、相手の意見と折り合いをつけたりしながら展覧会を創り上げた経験から、人間的にも大きく成長できたと思います。

大学生活の集大成が、コンペティションで特別賞を受賞。

卒業制作では「宿泊施設のリノベーション提案」に挑戦。

 3年次で建築に本気で向き合う楽しさを知り、いよいよ最終学年になり、ずっと興味を持っていた「宿泊施設のリノベーション」を卒業制作のテーマに掲げ、約10カ月間、打ち込みました。対象の建物は、自分の地元である覚王山にある宿泊施設にしました。この宿泊施設をリノベーションすることで、この宿泊施設の経営者や利用する人たちと、商店街が総合に関係しあえる空間を作り出したいと考えました。しかも、ちょうどそのころ、新型コロナウイルスが流行していて、リモートワークによりONとOFFの切り替えが難しくなり、プライベート空間とビジネス空間の垣根がなくなってしまうなか、その閉塞感をほんの少しだけ打開できる「ちょっとだけ特別な日常」を提供したいとも考えました。
 アイデアを考えることが好きなので、徹底的にリサーチを実施しました。対象の宿泊施設に実際に泊まって経営者や利用者にヒアリングをおこない、さらに商店街の飲食店にも1軒1軒、要望や意見を聞いて、この街に本当にふさわしい空間はどんなものか、検討を続けていきました。そして、見えてきたのは「食」というキーワードです。商店街に朝食を提供している店舗が少ないことに着目し、対象施設を朝ごはんを提供する宿泊施設として生まれ変わらせました。作品のタイトルは「八日屋」として、1週間(7日間)の、ほんの少し先の特別な時間が流れる場所であってほしいという願いを込めました。

 この卒業制作について、最終講評会でプレゼンテーションする時、「先生方からいろんな意見を聞きたい」と思えました。先生方は、現役の建築家でもありますから、プレゼンテーションでは、鋭い意見もあります。今までのプレゼンテーションでは自分の考えが至らず、先生方の質問に答えられないこともしばしばありました。それでも、自分のアイデアや提案はどういう評価を受けるのか知りたい。現役の建築家の目にはどのように映るのか知りたい。卒業制作は、そんな風に思えました。きっと自分なりに「やりきった」という感覚があったからでしょう。実際、厳しい意見もいただきましたが、「そういう見方もあるのか」と素直に受け取ることができました。この「多様な意見に耳を傾け、素直に受け取る力」は、大学4年間で身についた力かもしれません。

大学生活の集大成が、コンペティションで特別賞を受賞。

努力が特別賞という形で結実。将来を切り開く糧にしたい。

 この卒業制作は先生方の推薦を受け、日本インテリア学会卒業作品展に出展しました。そして、ありがたいことに特別賞を受賞することができました。学生生活を通じてアイデアを考えることが好きと自分の興味を明らかにすることができ、卒業制作ではその一点に集中して徹底的にリサーチして頑張ったことが報われて、本当に嬉しく思います。
 現在は、リフォーム会社で営業としてさまざまな人の困りごとに耳を傾け、解決策や商品を提案しています。学生時代の時に感じたように、いろんな人の考えやお話を聞くことは楽しく、とても勉強になります。たくさんの経験を積んで、将来は自分で空間プロデュースをして、宿を経営したいという夢もあります。大学時代の経験と学びを、社会でもっと磨きをかけて、自分の思い描く人生を歩む力に変えていきたいです。

■高橋さんの卒業制作「八日屋」

大学生活の集大成が、コンペティションで特別賞を受賞。