躍動

2022年07月12日

2021年インテリア産業協会研究助成に採択されました。

vol.90

創造表現学部 創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻4年

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻
有働円香さんと大原彩友香さんの研究テーマが、
2021年度インテリア産業協会研究助成に採択されました。

 創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻4年生の有働円香さんと大原彩友香さんの研究が、公益社団法人インテリア産業協会の調査・研究活動助成(2021年度)に採択されました。今回応募した研究テーマは、「インテリアを変えることで人は変わる~学生の部屋を分析し、多世代と比較することでこれからのインテリアのスタンダードを考える~」です。インテリアの配色、家具の配置、照明、収納など、Z世代(1990年代後半から2000年前半生まれ)のインテリア傾向を調査・分析し、シニア世代のものと比較・考察した研究内容が認められました。

2021年インテリア産業協会研究助成に採択されました。

2021年インテリア産業協会研究助成に採択されました。

 2人は2021年6月に、インテリア産業協会調査・研究活動助成に応募しました。研究テーマは、松本先生と相談しながら決定し、松本先生が取り組んでいたシニア世代のインテリア傾向についての先行研究を活かして、シニア世代とZ世代のインテリア傾向を比較することで、これからのインテリアについて考察するという内容です。
 6月下旬に採択されることが決まり、7月から研究活動がスタートしました。有働さんと大原さんは、約2ヶ月かけてZ世代(大学生男女41人)の部屋を360°カメラで撮影し、撮影した画像をもとに、家具や雑貨、建具にいたるまで部屋にあるあらゆるアイテムを抽出しました。さらに、コレスポンデンス分析という、統計学上のデータ解析手法を用いて、抽出したアイテムと「積載」「取付」「収納」との相関関係について分析しました。こうして得た結果をもとに、シニア世代のインテリア傾向と比較しました。
 インテリアが人に影響を与えるという側面では、Z世代はアイデンティティの形成に、シニア世代はアイデンティティの維持に寄与していました。部屋の特徴としては、Z世代はプラスαによって独自の空間を構成し、シニア世代は主にリビング・ダイニングで過ごすことがわかってきました。

 その後、9月のインテリア産業協会への中間報告を経て、2022年3月、詳細な調査研究成果報告書を提出しました。インテリアはマニュアルがなく、ライフスタイルや「なりたい自分」によって変わってくるもので、人とともにインテリアは変化し、進化するものであるという考察を導き出し、研究を終えました。研究内容は冊子としてまとめて製本され、協会のホームページにも掲載されています。

2021年インテリア産業協会研究助成に採択されました。

公益社団法人インテリア産業協会 HPはこちら>

 今回研究に取り組んだ有働さん、大原さんのお二人に、研究の活動内容と採択された感想、大学での学びなどについて、それぞれお話を伺いました。

2021年インテリア産業協会研究助成に採択されました。

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻4年
有働円香さん

 インテリア産業協会の調査・研究活動助成採択への挑戦をすすめてくださったのは、所属するゼミの松本先生です。3年生になり、ゼミで大きな結果を残したいと考えていたこともあり、良い機会だと思って応募しました。研究テーマが採択されたことは、大きな自信になりました。
 今回の研究で興味深かったのは、色彩分析です。統計として女性はピンク系、男性はシックな色のアイテムが多く、全体的には茶色系のカラーが多いことから木などのナチュラルな色合いの傾向が好まれているのだと知ることができました。
 また、住まいで長時間過ごす場所については、シニア世代は家族と一緒に過ごすリビング、Z世代は自分の居室というように違いがありました。そのため、シニア世代は他の家族に配慮したインテリアになり、Z世代は趣味性の高いインテリアが多く見られたことも印象的でした。インテリアからライフスタイルを考察したことは、テーマでもある「インテリアを変えることで人は変わる」ことにつながりました。今回の研究の成果は、卒業プロジェクトにも活かしていきたいと思います。
 卒業後の目標は、インテリアや空間づくりに携わる仕事に就くことです。今回の経験をはじめ、大学で学んだことや体験したことを活かし、モチベーション向上に役立つインテリアを提案できるインテリアコーディネーターをめざします。

2021年インテリア産業協会研究助成に採択されました。

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻4年
大原彩友香さん

 インテリアコーディネーターをめざし、建築・インテリアデザイン専攻を選択したので、何か将来に役立つ経験をしたいと思っていたところ、有働さんに誘われて今回の調査・研究活動助成採択にチャレンジしました。
 研究を通しておもしろかったのは、さまざまな気づきがあったことです。中でも、壁や天井などはあまり使用されていないことが意外な発見でした。
 一番苦労したのはアイテムの抽出と分析ですが、その結果を文章にまとめることも大変でした。しかし、おかげで文章力が磨かれ、内容の濃い報告書をまとめる力が身についたと思います。分析ソフトを使いこなせるようになったことも、スキルアップに役立ちました。
 多くの方に協力していただき、無事に研究を完成させることができ、今回の経験を通じて、インテリアは、個人の空間づくりに大きな影響をもたらすことがわかり、インテリアについてさらに研究を深めたいと感じました。今後は、この研究で得た成果を卒業プロジェクトにつなげていきたいと思っています。
 私も将来は、インテリア関係の仕事に就くことを希望しています。今回の研究で、インテリアが人に与える影響について実践的に学び、住まいにおけるインテリアの重要性を深く理解できたので、それを多くの人に伝えていきたいと思います。