躍動

2025年12月23日

2025年度日本建築学会設計競技にてタジマ奨励賞を受賞

vol.114

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻(*) 4年 井上凪沙さん、岡山莉呼さん、木野村綾音さん、細江杏里さん、3年 上田彩月さん、棚橋美咲さん、松澤凜さん *創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻は、2024年4月より、建築学部になりました

諸江ゼミの学生7名がタジマ奨励賞を受賞。
団地を題材に「解築学」を深掘りした作品が評価されました。

 建築設計の理論を学び、実践することをモットーとする建築学部の諸江ゼミ。所属する3・4年生は毎年積極的にコンペティションに挑戦し、日々の学びを設計に落とし込む試みを続けています。今回、2025年度日本建築学会設計競技で諸江ゼミのチームがタジマ奨励賞を受賞。ゼミとして3年連続受賞の快挙となりました。

 2025年度設計競技の課題は、「『解築学』を可視化する-解体と循環の時代を切り拓け」というもの。建物で埋め尽くされている日本の現状を踏まえ、これからの建築は解体、そしてそれに続く廃棄や循環について考えなければならず、解いて築く「解築学」が求められています。そんな時代に相応しい設計とはなにか。学生たちは課題と真剣に向き合いました。

 諸江ゼミの7名が制作した作品は「団地、ダンダン転換中。」。名古屋市港区の団地「新いろは荘」を題材に、スクラップ&ビルドで一括解体されてしまうことの多い団地を、減築と増築を織り交ぜてスケールを徐々に変化させながら再構築するという提案をしています。作品のポイントは、3段階に分けて増築されてきた『新いろは荘』の築年数の違いを活かして縮小と増築を段階的に行うことで、住民の暮らしを守りながら建物の姿を変えていくことです。団地は一括管理の大規模集合住宅から、自立管理して自ら育てる住環境へと変容し、スケールダウンした住戸部分は街へと開かれ、人々のつながりを生む公共空間へと変容していきます。さらに、解体材を資源として再利用し、新しい暮らしに循環させる仕組みも盛り込みました。

 チーム代表を務めた4年生の井上凪沙さんは、発想のヒントを「サボテンの増殖方法」から得たと話します。親株から子株を切り離して根付かせるように、団地という母体から住戸を段階的に切り離し、自立管理へ転換するアイデアが生まれました。

 4年生の細江杏里さんは「築年数の違いを活かしながら段階的に縮小と増築を行うことで、暮らしを守りつつ建物を変えていくことがポイント」と強調。木野村綾音さんは「チームでコンペに挑んだことで、自分だけでは成し得なかったことを達成でき、7人で本気で取り組んだ経験はかけがえのないもの」と振り返り、岡山莉呼さんは「得意分野を掛け合わせることで大きな力が生まれた、チームの3年生にはまた来年の設計競技で力を発揮してほしい」と語ります。

 3年生の上田彩月さん、棚橋美咲さん、松澤凜さんは「先輩方から技術やコンペへの姿勢を学び、特にスケジュール管理の徹底は今後に活かしたい」と話し、次回の挑戦に意欲を見せました。

 7名それぞれが今回の経験を糧に、卒業設計や次年度の競技に向けて新たな決意を固めています。