追究

2018年11月27日

2018年度 人間情報学部 人間情報学科専門科目「海外フィールドスタディ」

2018年度 人間情報学部 人間情報学科専門科目「海外フィールドスタディ」

フィンランドとデンマークの施設・企業を訪れ、
多くのデザインや人と出会うことで人間情報の学びを深めました。

 人間、情報、コンピュータの特性を学び、「人にやさしい社会=ユニバーサルデザイン社会」の実現に貢献する人材を育成している本学の人間情報学部。「情報デザイン・システム」「心理情報」「図書館情報学」の3つの専修を設置し、学生が「専門知識+αの付加価値」を身につけることができるよう特色ある教育プログラムを実施しています。その一つが、2017年度から新たに導入された「海外フィールドスタディ」です。「情報デザイン・システム専修」で修得する「人にやさしいシステム構築の知識・技術」、「心理情報専修」で修得する「人の認知や行動特性に基づくものづくりの知識・技術」、「図書館情報学専修」で修得する「情報の検索・利用の知識・技術」が世の中でどのように活かされているのか。世界的に見てもハイレベルな施設の視察を通して、理解を深めていくことを目的としています。担当教員の森博子先生は、人間情報学部としてふさわしい研修先を一年半かけて検討。「デザイン」「図書館」「IT産業」のいずれも先進的というところから、フィンランドとデンマークでの研修を決定しました。

2018年度 人間情報学部 人間情報学科専門科目「海外フィールドスタディ」

2018年度 人間情報学部 人間情報学科専門科目「海外フィールドスタディ」

 今年度の「海外フィールドスタディ」に参加したのは、13名の3・4年生。2018年の5月から8月に4回、事前オリエンテーションをおこない、8月末からの研修をより実りのあるものになるよう準備を整えました。学生たちは訪れる施設・企業の研究はもちろん、海外研修における注意事項やトラブル回避の方法などのレクチャーも受け、不安を払拭してから研修に臨むことができました。また、プログラムに組み込まれていた「現地学生との文化交流」に向けて英語力向上をめざしたグループワークなどに取り組み、万全の状態で研修初日を迎えました。

2018年度 人間情報学部 人間情報学科専門科目「海外フィールドスタディ」

2018年度 人間情報学部 人間情報学科専門科目「海外フィールドスタディ」

 研修期間は8月30日(木)から9月5日(水)の7日間。研修の前半はデンマークに訪れ、福祉施設や王立図書館を視察し、場所をフィンランドに移してからは、ユニバーサルデザインに優れた公共交通機関や世界的なIT企業Nokia社などを視察しました。各施設・企業のご担当者から直接レクチャーを受け、それぞれの場所でいかにユニバーサルデザインが活用されているのか体感することができた学生たち。通訳ガイドを通じて積極的に質問を繰り返すことで、人間情報で得た知識が街のいたるところに息づいていることを知ることができました。また文化交流を目的に訪れた、協定校のメトロポリア応用科学大学では、キャンパスツアーの後、現地学生との会話を楽しみ、互いの国の文化について伝え合いました。

2018年度 人間情報学部 人間情報学科専門科目「海外フィールドスタディ」

2018年度 人間情報学部 人間情報学科専門科目「海外フィールドスタディ」

 帰国後は事後学修として7日間の成果をまとめたレポートを作成。学生たちは現地での学びを振り返ることで、研修で得た気づきを今後どうやって活かしていくのか、自らの目標も新たに見つかったようです。学生たちにとって人間情報学部の学びが社会にとって重要であると再認識できる機会でとなり、かつ、世界に視野を広げて自らの可能性を切り拓いていくチャンスとなるよう、人間情報学部は次年度以降もさらに「海外フィールドスタディ」の内容を充実させ、学生たちに成長のきっかけを提供していきます。

2018年度 人間情報学部 人間情報学科専門科目「海外フィールドスタディ」

2018年度 人間情報学部 人間情報学科専門科目「海外フィールドスタディ」

参加学生インタビュー

人間情報学部 人間情報学科 情報デザイン・システム専修 3年 村田 幸恵さん

2018年度 人間情報学部 人間情報学科専門科目「海外フィールドスタディ」

2018年度 人間情報学部 人間情報学科専門科目「海外フィールドスタディ」

 幅広い視点から情報学を学びたいと考え、人間情報学部に入学を決めました。特に興味を持った分野はプログラミングです。1年次の授業でネットワークやJAVA言語について触れたことから、さらに知識を深めてみたいという思いが募りました。海外フィールドスタディを参加しようと決意したのは、図書館情報に関する研修も、北欧デザインに関する研修も用意されており、人間情報学部の学びを丸ごと体感できると感じたから。世界的に有名なIT企業Nokia社を訪れることができることも、就職活動を目前に控えた私にとっては大きな魅力でした。研修では実際にNokia社の社員さんからお話を聞くことができ、「IT企業」とひと言でいっても多くの事業を手がけていること、そのどれもが社員発案で実施されていることなど、多くの驚きがありました。さらに経営陣はフィンランド人だけではなく、さまざまな国籍の方が務めていると知り、今まで漠然としていた「グローバル化」を肌で感じることができました。海外研修だからこそ得られた「グローバルな視点で物事を考える力」を活かし、これからの進路決定やその後の人生に役立てていきたいと思います。

人間情報学部 人間情報学科 心理情報専修 3年 太田 菜緒さん

2018年度 人間情報学部 人間情報学科専門科目「海外フィールドスタディ」

2018年度 人間情報学部 人間情報学科専門科目「海外フィールドスタディ」

 人間情報学部では「心理学を活用し、より良い暮らしの在り方を考える学び」が展開されています。商品パッケージやデザインがいかに人間の認知や知覚の特性を意識してつくられているかなど、具体的な事例を基に理解を深めることができ、自然と心理学と暮らしを連動させて考える力が身につきました。海外フィールドスタディでは、ユニバーサルデザインの最先端の地である北欧を訪れることから、今まで以上に「心理学と暮らしの連動」を学べるのではないかと期待して、参加を決めました。研修中、一番印象に残っているのは、2日目に訪れた福祉施設です。階ごとに青やピンクなど色分けされていたり、真っ白な壁に真っ黒なコンセントが設置されていたり、認知障害を持つ方にもわかりやすいよう工夫されていました。デザインの力を借りて、暮らしやすさを向上させるユニバーサルデザインがこれほどまでに浸透しているのかと、衝撃を受けました。今回の研修で学んだ「ハンディキャップを持った人を中心に設計・デザインすれば、誰もが使いやすい施設になる」という価値観を、卒業研究や今後の学びに生かしてみたいと思います。

人間情報学部 人間情報学科 4年 河野 杏奈さん

2018年度 人間情報学部 人間情報学科専門科目「海外フィールドスタディ」

2018年度 人間情報学部 人間情報学科専門科目「海外フィールドスタディ」

 小さい頃から図書館が大好き! 愛知淑徳大学には図書館について学びを深められる学部があると知り、人間情報学部への入学を決めました。海外フィールドスタディでもデンマークの王立図書館をはじめ、デンマークとフィンランドで世界有数の図書館を視察できることをとても楽しみにしていました。目の当たりにしたデンマーク王立図書館は、「知的好奇心を満たす場所」でした。日本の図書館は「本を借りる場所」というイメージが強いのですが、デンマーク王立図書館は「本の貸出」だけにとどまらず、ホールや展示場が併設されており、表現や学びを深める複合施設として地域に根付いていました。フィンランドの図書館には、3Dプリンターとグランドピアノとミシンがおいてあり、「自らの能力を高められる場所」として機能していました。このような視察を繰り返す中で、図書館に対する固定概念が鮮やかに打ち砕かれ、図書館の在り方についてあらためて考えるきっかけとなりました。この気づきは、卒業研究にも役立ちそうです。何事にも先入観や固定概念を取り払い、常識を疑うことからはじめることで、自らの学びを深めていきたいと思います。