追究

2023年08月02日

人間情報学部 キャリアデザイン科目

2023年5月13日(土)5月27日(土) 長久手キャンパス 741教室

三者三様のキャリアを積んできた講師陣が自身の経験や価値観を伝え、
進路に悩む学生たちに勇気と気付きを与えました。

 本学では、学生たちが進路に対する考えを深めるサポートをするため、学科ごとにキャリアデザイン科目を設置。社会の各分野で活躍している専門家や卒業生を講師としてお招きし、就職活動や働き方、将来のビジョンの描き方などを学生たちに伝えています。
 2023年5月13日(土)に人間情報学部の学生を対象におこなわれたキャリアデザインの授業では、花王株式会社に勤めており、本学の非常勤講師でもある沖山夏子先生がご登壇。5月27日(土)には金城学院大学の図書館職員である田中宏樹 様と株式会社リックテレコムの関根禎嘉 様にご登壇いただき、ご自身の経験をもとに就職活動で意識すべきことや、将来を考える際のポイントをお話しいただきました。

5月13日(土)花王株式会社/沖山夏子 先生

 一つのことに没頭するタイプだったという沖山先生は、就職活動では「自分が熱中してきたことや経験してきたことを振り返り、そこから自分が重視していることや自分の特性を把握することが重要」だと説明。また、自分の目指すべきものがわからないという学生に向けて、「何かに打ち込んでみないと、やりたいことは見つかりません。何かに打ち込むと自分だけの価値観が見つかるので、打ち込めるものを見つけてください」というメッセージを送りました。一方、打ち込みたいものがなく、なかなか頑張れないという学生に対しても「“何もしなかった”というのも一つの経験で、頑張れない人の気持ちを理解できることも武器になると思います」と、消費者研究をされている沖山先生だからこそのエールを伝えました。

 後半からは質疑応答の時間に。「モチベーションを維持するにはどうしたらよいか」「落ち込んだ時にはどうしているか」「仕事を辞めたいと思ったことはないか」など、頑張り続けるための秘訣や、やりがいに関する質問が多く寄せられましたが、沖山先生はそれぞれに丁寧に回答。「面接で意地悪な質問をされたら、どのように対応すればよいか」という学生の就職活動に対する不安が詰まった質問には、「繕おうとせずに正直に『知らない』ことを伝えましょう。担当者はその人の本質的な部分を見たいので、自分の弱さを認めて成長していくという姿勢を見せるのが良いと思います」と、社会人の先輩としてアドバイスを送りました。

5月27日(土)金城学院大学/田中宏樹 様

 田中さんは名古屋大学文学部を卒業後、大学院で修士課程を修め、一度は市役所職員となり図書館員に配属されるも退職してそのまま上京。図書館情報学という分野の修士号を取得するために再び大学院に入学し、卒業後は30歳で“新卒”枠として金城学院大学の図書館員となったそうです。このように特殊な経歴を持つ田中さんはキャリアを築く上で「+αを磨くこと」を重視しており、「基礎を築いた上で自分ならではの+αを持つことで、個人としての市場価値を高めることができます」と語られました。
 就職活動を控える学生へのメッセージとして「自分が価値を感じる仕事とは何か?という問いを深めることで自分に向いている業界を見出せると思います」と、進路の見つけ方についてアドバイス。また「就職活動では客観的で精度の高い情報を入手することが重要になるので、キャリアセンターや図書館のデータベースを活用してください」と、就職活動では図書館もサポートしてくれることを伝えました。

 質疑応答では、学生から図書館の活用方法をはじめ、図書館職員としての仕事や公務員試験についての質問が多く寄せられました。就職活動に関する質問も多く、客観的な情報が大切だという話に基づいて「就活サイトなどの情報はどこに注目すべきですか」と聞かれると、田中さんは「数字をよく見ましょう。数字として客観的なデータをちゃんと示している企業は、比較的誠実だといえます」と、建設的な回答で学生の疑問に応えました。

5月27日(土)株式会社リックテレコム/関根禎嘉 様

 5月27日(土)の午後にご登壇した関根さんは、「興味と適性でデザインするキャリア」をテーマとしてトークを展開。就職活動では自分の「興味」を重視し、興味の対象であった出版社を中心にエントリーされたそうです。新卒で入社した会社の業務内容が元々やりたかったこととは違っていたようですが、当初の「興味」とは異なる経験が自分のキャリアとなり、特定の分野への「適性」を発見できたと語られました。そしてリスキリングのために入学した大学院や広報・宣伝業務といった仕事など、さまざまな経験を重ねる中で「自分の適性を生かし、興味を満たす仕事をしたい」と考え、現在の会社に転職することを決めたそうです。
 ご自身の経歴を振り返った関根さんは、最後に「就職活動では“興味”を特に大切にしてください。興味は持っているだけでモチベーションにつながります。適性は興味のあることを続けていれば開花していくので、まずは自分のやりたいことを見つけてください」と、学生にエールを送って発表を締めくくりました。

 学生からは多様な質問が投げかけられ、なかには「興味があれば適性はついてくるはずとおっしゃっていましたが、いつまでも適性がついてこない場合はどうすべきですか」といった鋭い質問も。それに対して関根さんは「適性がないと感じながらその仕事を続けていくのはつらく、興味も薄れていくと思います。そのため興味がなくならないのであれば、適性がないわけではないはず。やり方を変えたり視点をずらして考えたりすると、違った適性が見えてくるかもしれません」と、学生の抱える不安に寄り添った回答をしました。

 学生たちが改めて将来を考えるきっかけとなったキャリアデザイン科目。講師の3名に送っていただいた優しくも熱いメッセージは、やりたいことが見つからず進路に悩む学生たちに勇気と気付きをもたらしたことでしょう。本授業を踏まえて、彼らは自分自身の興味関心と向き合い、理想的な未来へ進むための方針を決めていくのではないでしょうか。