愛知淑徳大学 体験講義 2014 レポート

平成26年12月25日(木) 長久手・星が丘キャンパス

高校生約180人が、在学生と共に授業を受講。
専門的な学びのおもしろさ、奥深さを体感しました。

 毎年、全学部・学科(専攻)を挙げて開催している「愛知淑徳大学 体験講義」は、高校生対象の人気イベント。本学教員がおこなう実際の講義を、本学在学生と共に受講できる貴重な機会です。今年度も長久手・星が丘両キャンパスあわせて180人以上という多数の応募がありました。開催日の12月25日(木)は、通常の授業日。休日に実施するオープンキャンパスとは異なり、大学生が行き交う活気あふれるキャンパスに、参加した高校生たちは目を輝かせていました。

 長久手キャンパスの開会式では、初年次教育部門長・小倉斉先生が「本日はクリスマスです。この体験講義が皆さんにとって素敵なプレゼントとなるよう、ぜひ充実した時間を過ごしてください。『大学で学ぶ意味』を考え、最良の道を選択するきっかけになればと願っています」とメッセージ。その思いに応えるように、高校生たちは真剣なまなざしで各授業に臨んでいました。
 また、当日は教職員による「個別相談コーナー」も開設。高校生や保護者の皆さんは入試や学生生活、卒業後の進路などについて積極的に質問し、進学への疑問や不安を解消していました。
 今回、大学ならではの専門性の高い学修を、ひと足先に体験した高校生たち。大学で学ぶ目的や将来の目標を明確にし、めざす未来に向かって確かな歩みを進めていくことでしょう。


授業PICK UP 長久手キャンパス

文学部 国文学科「国文学演習(6)近代II」
担当:竹内 瑞穂 6号棟4階6411

日本の変格探偵小説の代表作家・夢野久作(1889年‐1936年)の短編小説『瓶詰地獄』を題材に、その幻想的な世界についてグループごとにディスカッションしました。「疑問を持って、物語を読み深めよう!」という竹内先生のアドバイスのもと、高校生たちも国文学科ならではの“自由な読み”に挑戦。自分で新しい読み方を探っていける、その文学研究の醍醐味を味わいました。

「国語の授業とは異なり、正解がないのが国文学の学修・研究です」と、竹内先生は学問の魅力を解説。

学生が高校生の各グループに入り、質問を投げかけながら、物語を多角的に読む方法をアドバイスしました。


文学部 英文学科「専門演習II」
担当:若山 真幸 3号棟3階339

英語のしくみを研究する若山先生の専門演習では、この日、「江戸時代・明治時代の英語」を学修。開国時の日本が英語をどう聞きとり、外国人や海外の文化をどう受け入れてきたのか。各時代の資料をタブレット端末で閲覧し、現代との相違点を考えながら、英語学への理解を深めました。日本人の英語習得の歴史をたどり、高校生たちは“ことば”としての英語に対する関心を深めました。

簿記=bookkeeping、ワイシャツ=white shirtなど、英語が語源となる日本語も紹介し、言語への興味を喚起。

1859年につくられた日本初の英会話本も取り上げながら、現代の英語学習との相違点を議論。


人間情報学部 人間情報学科「人間情報入門」
担当:西荒井 学 10号棟3階1032

人間の特性を分析する「心理情報分野」、ソフトウェアを中心に学ぶ「情報デザイン・システム分析」、情報の管理や活用などを追究する「図書館情報学分野」。人間情報学部の3分野の学びを解説した上で、西荒井先生は学生が取り組むプロジェクトも紹介。アプリケーションの開発、学術雑誌の編集・制作、感情による図書検索システムなど、最先端の研究に高校生は高い関心を示しました。

「新しいモノを生み出す力」を養う人間情報学部の奥深い学びに、興味津々だった高校生たち。

「修得した知識やスキルを活用し、社会の課題をどう解決するか、考えながら学ぼう」と西荒井先生。


メディアプロデュース学部 メディアプロデュース学科「インテリアデザイン論」
担当:高橋 敏郎 8号棟2階827

建築には「安全」「健康」「利便」「快適」という備えるべき条件があります。今回は「健康」に着目し、シックハウス症候群などの建材による健康被害とその対策を講義。高橋先生が「建築をつくるには、『健康』の側面だけでも、材料、換気システムなど、多岐にわたる専門知識が必要となります」と説明すると、高校生は身近な建物が複雑な構造で形づくられていることを再認識しました。

一級建築士、一級インテリア設計士などの資格を持つ高橋先生が、空間設計やデザインの本質を解説。

建築やインテリアに興味がある高校生が集まり、専門性の高い講義内容をノートに書き留めました。


健康医療科学部 医療貢献学科 視覚科学専攻「視覚心理学I」
担当:高橋 啓介 11号棟4階 視覚科学多目的実習室(11410)

道路標識、横断歩道、踏切などのデザインやカラーは、見た人が瞬時に理解できるよう計算し尽くされています。「色はシグナルとして活用できます」と話す高橋先生は、人の眼が色を認識するメカニズムを解説。黒、グレー、白を組み合わせると色の見え方がどう変化するのか、高校生たちはスクリーンに映し出された図形を注視しながら、“視覚”の不思議さを体感しました。

「同じグレーでも、黒の中にあるグレーはより白く、白の中にあるグレーはより黒く見えます」と高橋先生。

高校生の皆さん、「色を識別すること」「モノを見ること」の奥深さをあらためて感じました。


健康医療科学部 スポーツ・健康医科学科「体力測定・評価演習」
担当:太田 洋一 11号棟5階 健康環境系実習室(11502)

体力の評価には、正確な測定が必要不可欠です。この演習では、正しい体力測定・評価方法を実践的に学びます。今回は、立ち幅跳びの動画・画像をもとに、跳躍距離や速度を算出する方法を学修。その結果をふまえ、跳躍距離には身体のどの部位のどんな動きが関係するのかを分析しました。高校生たちは、スポーツ科学の高度な学びに触れ、基礎から学んでみたいと意欲に満ちていました。

太田先生は「着地時の膝関節角度が何度ならいいのかなど、根拠のある考察をしよう」とアドバイス。

学生から計算方法などを教えてもらい、試行錯誤を重ねて演習に取り組んだ高校生たち。


授業PICK UP 星が丘キャンパス

交流文化学部「交流文化1(国際関係入門)」
担当:若松 孝司 1号館5階15B

国際関係に欠かせない主権国家のバックボーンを歴史的視点から考察するこの授業。今回の講義のテーマは、高校でも取り上げられるベトナム戦争でした。この争いがアメリカをはじめとする世界各国に与えた影響を若松先生が丁寧に解説。当時の写真や地図など、スクリーンに映しだされた数々の資料から、高校生は実感を持って世界が大きく変わった激動の時代を学びました。

「現在も世界各国はベトナム戦争の影響を受けています。歴史は決して過去のものではありません」と若松先生。

ハンドアウト(レジュメ)を使用し、気づいたことをメモする大学ならではの学修スタイルも、高校生にとっては新鮮。


交流文化学部「コミュニケーション論1(コミュニケーション概論)」
担当:太田 浩司 1号館5階15A

この日の講義のテーマは説得。「先輩に貸したまま、戻ってこない教科書。返してもらうにはどう説得したらいいか」というシーンが設定され、高校生は先輩後輩役に分かれてロールプレイングに挑戦しました。ロールプレイングの合間には世界のCMを題材に、感情に訴えかける手法について太田先生が説明し、高校生は実践的にコミュニケーションが日常生活で果たす役割について理解を深めました。

先輩を褒めたり、批判したり、「説得」に挑んだ高校生。コミュニケーションの難しさと楽しさを実感しました。

「人間の特性をダイレクトに反映しているのが、コミュニケーションです」と解説した太田先生。


ビジネス学部「ゼミナールII」
担当:浅井 敬一朗 4号館1階41B

高校生は学生と共にグループワークに挑戦。オリエンタルランドの強みや弱みをビジネスの視点から考察し、さらに、ビジネス提案をおこないました。「北海道や沖縄の人にとって、東京は行きにくい?」「海外旅行と比べると?」という学生からの質問をヒントに、意見をまとめた高校生たち。グループ発表にもチャレンジし、堂々としたプレゼンテーションにあたたかい拍手が送られました。

グループ内の意見をまとめ、堂々と伝えた高校生。発表後の笑顔に充実感があふれていました。

学生が司会進行を担当。専門用語を簡潔に説明する先輩の姿に、高校生は憧れの眼差しを向けていました。


ビジネス学部「マーケティング」
担当:大塚 英揮 1号館5階15C

「観光をビジネスの視点で見ると、どんなことが分かるのか実感してもらいたいとホテル・旅館産業を取り上げることにしました」と大塚先生。授業はホテルに対する需要は増えていると思いますか? ホテル業界は参入しやすいと思いますか? という質問に対し、高校生はその答えと根拠を自分なりに考察。大塚先生は高校生の意見を拾い上げながら、一緒になって売上を上げていく仕組みを考えていきました。

大塚ゼミの学生がチューターとして参加し、高校生にアドバイス。自分の考えをまとめる手助けをしました。

授業の最後は、大塚先生と対話。高校生にとって、大学の先生から指導を受ける貴重な経験となりました。