交流文化学部 交流文化学科 二文字屋 脩

交流文化学部 交流文化学科 二文字屋 脩

二文字屋 脩

交流文化学部
交流文化学科

文化人類学を武器に「アタリマエ」を問い直す

プロフィール

学歴
  • 2008年3月:桜美林大学国際学部国際学科卒業
  • 2010年3月:首都大学東京大学院人文科学研究科博士前期課程修了(社会人類学修士)
  • 2016年9月:首都大学東京大学院人文科学研究科博士後期課程単位取得満期退学
  • 2017年7月:博士号取得(社会人類学博士)
職歴
  • 2012年4月:日本学術振興会特別研究員(DC2)
  • 2015年4月:京都文教大学総合社会学部総合社会学科 教務補佐
  • 2018年4月:早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター 講師
  • 2021年4月:愛知淑徳大学交流文化学部交流文化学科 准教授(現在に至る)

大学生のときに、遊動生活を送る人たちに関心を抱き、文化人類学を研究するようになった二文字屋先生。研究の一環として、大学時代にはホームレスと1ヶ月間、大学院時代にはムラブリと2年間共に生活するなど、「アタリマエ」を問い直す経験を積み重ねてきました。大学では、こうした柔軟な姿勢で物事の本質を探究することの大切さも伝えています。

僕の専門は文化人類学です。あまり聞き慣れない分野かも知れません。が、実はここ最近、色々な場所で再び注目を集めている分野でもあります。おそらく、文化人類学の発想や視点が、生きづらさが増す現代社会において、旧来の価値観を大きく揺さぶりつつ、新しい価値をもたらすものだと期待されているからでしょう。

文化人類学とは、異文化を生きる他者(彼ら)を通して、自己(私たち)の「アタリマエ」を相対化しつつ、「人間とは何か」という壮大な問いに応えようとする学問です。そのためにも、他者に学ぶ姿勢を文化人類学ではとても大切にしています。他者に学び、自己を省みることで、私たち自身の生き方を問い直していくこと。そこからこれまでとは違った生き方を創造していくこと。そこに、文化人類学の刺激的で中毒的な面白さがあります。

そんな文化人類学を専門とする僕は、タイの少数民族ムラブリと日本のホームレスを研究しています。どちらも、「私(たち)」からすると、生き方や考え方など、広い意味での「文化」が大きく異なる人たちです。

例えばムラブリという少数民族には「家族」に当たる言葉がありませんし、血のつながりをほとんど重視しません。そんな彼らの視点から見ると、家族や血のつながりを重視する私たちがやや風変わりなものに見えてきます。一方でホームレスは、都市を資源が豊富なジャングルのように見立てて生きています。そんな彼らの生き様を間近で見ていると、「何もかも奪われた弱者」という一般的な見方がひとつの見方にすぎないことが分かります。

そんな文化人類学を武器に、そして他者を味方に、僕は学生たちとともに私たちの生き方を問い直しているところです。「アタリマエ」のその先に何が見えてくるのか。本学での冒険はまだ始まったばかりです。

主要著書

  • トーキョーサバイバー

    うつつ堂(2022年)

  • 人類学者たちのフィールド教育ー自己変容に向けた学びのデザイン

    (共編著)ナカニシヤ出版 2021年3月

  • 逃亡者の社会学

    (共訳) 亜紀書房 2021年4月

  • フォビアがいっぱい

    (分担執筆) 春風社 2022年

  • ダメになる人類学

    (分担執筆) 北樹出版 2020年

(2022年10月 取材)