心理学部 心理学科 坂田 陽子

坂田 陽子
心理学部
心理学科
生涯を通して発達する、人間のちから。その謎に挑み続けたい。
プロフィール
- 学歴
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- 2000年:大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程心理学専攻単位取得退学
- 2001年:博士(文学)学位取得
- 職歴
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- 2000年:独立行政法人産業技術総合研究所特別技術補助職員
- 2001年:愛知淑徳大学コミュニケーション学部コミュニケーション心理学科講師
- 2010年現在:愛知淑徳大学心理学部心理学科教授
「なぜ?」と何事にも知的好奇心を働かせ、認知発達心理学の研究者として邁進する坂田先生。「人は生涯、発達する」という視点に立って、幼児教育や高齢者福祉などのあらゆる現場で実験・調査し、認知機能や人間そのものの謎に迫っています。「研究のテーマやアイデアが次々と浮かび、じっとしていられない」と語った横顔は、きらきらと輝いていました。
目には見えない「発達」を探る。
赤ちゃんとお年寄り、同じ人間なのに全く違いますよね。何かが変化したのですね。年齢と共に、身長、体重も変化しますし、お肌も変化します(笑)。外から見た変化は分かりやすいのですが、私は、外から見ただけではわかりにくい能力(たとえば注意・記憶・言語能力やコミュニケーション能力)が年齢と共にどのように変化するのか、というテーマで研究に取り組んでいます。
幼児と高齢者をコラボさせた、新たな研究。
今までの研究では主にカードゲームや記憶クイズのような課題を乳幼児と高齢者に対して別々に行い、その反応を分析していました。しかし近年、幼児と高齢者をコラボさせた研究を始めました。小学4年生の子どもが高齢者に対して「おじいちゃん(おばあちゃん)の思い出ばなしを3つ聞かせてください」とインタービューします。次に同じ高齢者に、大学生からも同様の質問をします。するとほとんどの高齢者は、小学生に対しては自身の小学生時代の、大学生に対しては20歳前後の時の思い出ばなしをそれぞれ使い分けて話してくださいました。
年の功といえる高いコミュニケーション能力。
高齢者の方々は、なんて臨機応変に相手の年齢に合わせたお話ができるのでしょう! 果たしてこの自由自在に操れる会話能力が中高生や大学生にあるでしょうか? とかく高齢者は「記憶力が悪い」とか「頑固」といった悪いイメージが付きまといますが、それを払拭する高齢者ならではの高いコミュニケーション能力を証明することが出来ました。これを基に、皆が理解しあえる楽しい社会作りに貢献できたらと思っています。
主要著作
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赤ちゃんの生後1年間の驚くべき能力
ナカニシヤ出版(2016年)
DVD[増補版]共著 -
認知発達研究の理論と方法
ー「私」の研究テーマとそのデザインー矢野喜夫、岩田純一、落合正行編
金子書房(2016年)
(「12章 生涯発達における認知の変容」PP193-206) -
幼児の年齢に応じたデジタルデバイスの使用方法の検討
ーデジタル絵本をもとにーデジタル教科書研究 Vol.2(2015年)
(共著 PP19-31) -
スタートアップ『心理学』
-高校生と専門的に学ぶ前のあなたへ-ナカニシヤ出版(2013年)
共著 -
心理学概説
-こころを科学する-ナカニシヤ出版(2010年)
共著 -
実験で学ぶ発達心理学
ナカニシヤ出版(2004年)
共編
(2016年5月 取材)