福祉貢献学部 福祉貢献学科 末田 邦子

福祉貢献学部 福祉貢献学科 末田 邦子

末田 邦子

福祉貢献学部
福祉貢献学科

福祉の歴史を紐解き、現在、未来につながる光を見出したい。

プロフィール

学歴
  • 1995年3月:日本福祉大学社会福祉学部社会福祉学科卒業
  • 2006年3月:日本福祉大学大学院社会福祉学研究科社会福祉学専攻博士前期課程修了
職歴
  • 1997年7月:医療法人青山会青木病院医療相談室
  • 2006年4月:金城学院大学人間科学部助手
  • 2007年4月:金城学院大学人間科学部助教
  • 2012年4月:金城学院大学人間科学部講師
  • 2013年4月:愛知淑徳大学福祉貢献学部講師
  • 2016年4月現在:愛知淑徳大学福祉貢献学部准教授

精神保健福祉分野の歴史研究に取り組む末田先生。日本の福祉の足跡をたどりながら、当事者の人々の問題解決につながる支援を実現するにはどうすればいいか、まなざしを未来へと向けています。「学生たちも日々の学修や実践を通して、自分ならではの〝福祉の核〟を見つけてほしい」と後進の指導にも力を注いでいます。

「こころの病気」は、五大疾病のひとつ。

2011年、厚生労働省は精神疾患を医療計画に盛り込むべき五大疾病の1つに位置づけました。私自身が専門にしている精神保健福祉領域は、統合失調症やうつ病などの精神疾患だけでなく、薬物依存や引きこもりなど幅拾い問題をその対象にしています。
私の職種はソーシャルワーカーです。大学で社会福祉を専攻し、卒業後精神科病院等でソーシャルワーカー職に従事しました。大学卒業当初の1990年代の精神科病院には、病状としては退院できるのに受け入れ条件が整わず退院できない「社会的入院」の患者さんが今以上に多く、多くの相談や退院支援に携わりました。その中で、支援を考える際には、なぜこのような状況が生じてしまったのか、その要因や背景を歴史的に検討する必要性を感じて、精神保健福祉分野の歴史研究に取り組んでいます。

当事者の人々の課題を、社会全体の課題として捉える。

具体的には、明治期から現在までの精神保健福祉領域(精神衛生領域)の相談事業に関する政策や活動実態を分析しています。精神衛生相談事業が制度化されたのは1950年ですが、地域における相談事業に関して、政策や関連団体でどのような動きがあり、制度化に至ったのか、また制度化後どのような相談活動が展開されたのかを分析しています。
相談事業には、制度化後の早い時期からソーシャルワーカーなど福祉職も関わってきました。この検討を通じて、精神保健福祉分野の相談事業の役割を明確化したいと考えています。
当事者の方々が抱える「問題」には、問題に至る長い歴史や当事者の方のみではどうにもならない状況があり、「問題」を社会的に捉えることはソーシャルワーカーの大切な視点です。学生には目の前の「支援策」のみにとらわれず、その状況に至った背景や要因を考える必要性を学んで欲しいと願っています。

主要著作・論文

  • 精神衛生相談所の活動実態に関する研究―全54か所の検討から

    精神衛生相談所の活動実態に関する研究―全54か所の検討から

    『社会福祉学』第52巻第1号(2011年)
    (PP123ー134)

  • 社会福祉士・精神保健福祉士養成教育における『生活モデル』用語の検討

    社会福祉士・精神保健福祉士養成教育における『生活モデル』用語の検討

    『愛知淑徳大学福祉貢献学部論集』第4号(2014年)
    (PP43ー55)

  • 戦前日本における精神衛生相談事業の制度化への動き―精神衛生関連団体の検討―

    戦前日本における精神衛生相談事業の制度化への動き―精神衛生関連団体の検討―

    『社会福祉学』第57巻第1号(2016年)
    (PP1ー14)

  • 絵本から「子ども福祉」を考える

    絵本から「子ども福祉」を考える

    春風社(2016年)
    (分担執筆、PP194ー199、PP286ー291、PP366ー377)

  • 『金城学院大学社会科学論集』第9巻第2号

    精神保健福祉士養成課程において学生が感じた困難さ―心理学科および保健福祉学科学生へのインタビューを通じて―

    『金城学院大学社会科学論集』第9巻第2号(2013年)
    (PP24ー33)

(2016年12月 取材)