教育姿勢・方針

学園の教育姿勢

伝統は、たちどまらない。

 1905(明治38)年、日本の女子教育の黎明期に創立された愛知淑徳学園は、愛知県で初となる私立高等女学校として、その一歩を踏み出しました。家事や裁縫が女子教育の主流とされていた明治の時代において、本学園の創立者・小林清作先生は次代へまなざしを向け、英語や理科を必須科目とし、スポーツを奨励しました。さらに、洋装の制服の採用や修学旅行の実施など、他の女学校とは一線を画した先進的な教育方針を次々と実践し、新たな女子教育の基盤を築き上げました。「十年先、二十年先に役立つ人材の育成」という言葉に表される当時の教育目標は現在まで続く学園の歩みの確固たる礎を作っています。
 日本の学校制度が大きく変わった戦後も、本学園は時代の流れや多様化する社会の要請に的確に応え、1975(昭和50)年に愛知淑徳大学を開学しました。その後「共生」が社会の大きな課題となる時代を迎えるとともに、1995(平成7)年創立20周年にあたって男女共学化を果たし、複数学部を擁する大学へと拡大していくことになりました。このような変化の中、学園創立以来の教育目標を継承、そしてより具体的、現実的に達成していくために、「違いを共に生きる」という理念を掲げるに至りました。さらにその理念は「地域に根ざし、世界に開く」「役立つものと変わらないものと」「たくましさとやさしさを」の3つの具体的テーマの形で表現され、ジェンダー・女性学研究所の開設、各種外国語教育や国際交流、コンピュータなどに代表される資格教育とボランティア活動をはじめとする体験教育の充実、さらにキャンパスのバリアフリー化などさまざまな教育体制の確立と教育実践に反映されています。「伝統は、たちどまらない。」というスローガンにこのような大学の進化の姿勢をこめて、愛知淑徳大学は、国籍、言葉、文化、性別、年齢、障がいの有無などお互いが違いを認め、すべての命と共に生きる道を探求し続ける、新たな時代の大学として常に躍進をめざしています。

学部の目的

文学部

 文学部は、すべての学問の根本となる普遍のテーマである〈人間探究〉を基本理念とする。この理念に基づき、人類の過去の知的・文化的遺産を継承しつつ、同時に未来に向けた創造的思考力を身につけることにより、人間と社会に対する深い洞察力に基づく広い視野に立った課題探究及び解決能力を養成し、もって教員をはじめとする社会のあらゆる分野における有為の人材を育成することを教育の目的とする。
 文学部の理念に基づき構成される3学科の理念及び教育目的は、次の通りである。

 国文学科は、自立した総合的な認識力・判断力・批判力を身につけるとともに、知性と感性を磨いて豊かな人間性を涵養し、もって社会に貢献できる有為の人材の養成を目的とし、現代の国際的な社会にあって日本文化、歴史、伝統の継承と発展を視野に入れながら日本の古典文学、近現代文学、国語及び中国文学に関する基礎的かつ専門的な教育研究を行う。

 総合英語学科は、「総合的に英語を教育する学科」として、高度な英語力を有し、鋭い国際感覚を身につけた職業人を育成することを教育目的とし、英語の「読む」「書く」「聞く」「話す」という4技能を鍛え上げ、これらの技能を活用した思考力・判断力・発信力を身につけるための教育研究を行う。

 教育学科は、小学校教員並びに特別支援学校教員、加えて生涯学習分野での指導者の養成を目的とし、教育の本質である人格形成について広い視野から考えられる確かな専門的知識と時代や環境の変化に対応できる優れた実践的能力を身につけるための教育研究を行う。

人間情報学部

 人間情報学科は、「人」中心の発想から情報技術を捉えることで、人々が暮らしやすいAI(人工知能)時代の情報化社会の形成と発展に貢献できる人材を育成することを教育研究の目的とする。この目的に基づき、学科のもとに「感性工学」「データサイエンス」の2専攻を置く。

 感性工学専攻においては、これからの持続可能な社会においてSTEAM人材として貢献し活躍できる人材を育成するための教育研究を行う。

 データサイエンス専攻においては、今後ますます多様化・複雑化する情報化社会においてデータ分析のスペシャリストとして活躍できる人材を育成するための教育研究を行う。

心理学部

 心理学科は、〈心の多様性と普遍性の理解〉を基本理念とし、人間行動のさまざまな現象を現代心理学の主要な領域から多角的な視点で総合的に究明する教育研究を行う。これにより、他者を尊重するとともに、自己を正しく表出しうる人材、さらには人間関係の中で生じる諸問題に適切に対処し得る人材を育成することを目的とする。

創造表現学部

 創造表現学科 創作表現専攻は、知的財産としての言語文化・表象文化に関する見識を持ち、その価値の継承・発信の社会的意義を理解しつつ、自己の考えを的確に伝えることのできる人材の育成を目的とし、文化的叡智に幅広く触れることで総合的な判断力を養い、文芸を中心とした創造的な表現活動に携わり得る知識と表現技術を身につけるための教育研究を行う。

 創造表現学科 メディアプロデュース専攻は、ビジュアルメディアを中心に映像制作、メディアコンテンツ制作、コミュニケーションデザインなどの分野でメディアの特徴を活かし戦略的に企画・立案できる人材の養成を目的とし、変化する情報メディア社会の諸課題に適切な対処ができ、豊かな自己表現を通して情報発信し得る専門的知識と実践的能力を身につけるための教育研究を行う。

 創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻は、建築・インテリアデザイン及びそれに関連する分野で活躍する人材の養成を目的とし、環境、歴史、文化、機能、経済性やエネルギーなどの多様な条件を読み解き、現代社会の様々な課題に取り組むとともに、将来にわたる長いタイムスパンで都市や人々の生活を描く構想力を持ち、広く社会に貢献しうる専門的知識と優れた実践的能力を身につけるための教育研究を行う。

健康医療科学部

 医療貢献学科 言語聴覚学専攻においては、言語聴覚士の国家資格を目指し、専門家として中心的な役割を担い得る人材、および言語聴覚士の職能の範囲にとどまらず、必要に応じて新しい検査・評価・訓練・指導の技法の開発や、新しい適切な支援の技術の開発を行い得る知識と技能を有する人材の育成のために必要な教育研究を行う。

 医療貢献学科 視覚科学専攻においては、視能訓練士の国家資格を目指し、専門家として中心的な役割を担い得る人材、および視能訓練士の職能の範囲にとどまらず、必要に応じて新しい検査・評価・訓練・指導の技法の開発や、新しい適切な支援の技術の開発を行い得る知識と技能を有する人材の育成のために必要な教育研究を行う。

 スポーツ・健康医科学科 スポーツ・健康科学専攻においては、スポーツ・運動科学および健康科学に関する幅広い知識を有し、その知識を背景に、生涯にわたる健康の維持・増進に携わる専門家として認められる人材、および生涯健康に関する諸問題に対し、自ら考え、解決策を見出し、それをもとに行動できる人材を育成するために必要な教育研究を行う。

 スポーツ・健康医科学科 救急救命学専攻においては、救急救命士の国家資格を目指し、健康と救急救命を中心とした医学に関する基礎的な知識を有し、社会に貢献できる人材、救急救命士として科学的根拠にもとづく論理的思考、総合的な観察力と判断力およびコミュニケーション能力を有し、病院前救護の専門家として人命を守る中心的役割を担う人材の育成のために必要な教育研究を行う。

 健康栄養学科においては、管理栄養士の国家資格を目指し、幅広い教養と、専門的かつ科学的な知識、高度な実践能力を有し、人々の健康の保持増進、生活の質の向上を通して健康長寿社会に貢献していく中心的な役割を担い得る人材の育成のために必要な教育研究を行う。

福祉貢献学部

 福祉貢献学科 社会福祉専攻においては、社会福祉士、精神保健福祉士等の国家資格を目指し専門職としての実践を通して社会に貢献する人材、及び教育や福祉に関する専門的知識・実践力・マインドを習得し、福祉社会の成熟に貢献できる人材の育成のために必要な教育研究を行う。

 福祉貢献学科 子ども福祉専攻においては、保育士や幼稚園教諭の資格取得を目指し、幼児教育の専門家として中心的な役割を担い得る人材、及び幼児教育の範囲にとどまらず社会福祉の知識をも利用して、社会が必要とすることに積極的にかかわれる人材の育成を目指し必要な教育研究を行う。

交流文化学部

 交流文化学科は、さまざまな文化的背景を持つ人々との交流を通して、広い視野から社会を眺め、多様な考え方、生き方、文化を受け入れることができる積極的な姿勢、そして新しい社会・文化を生成する力を育成するための教育研究を行う。学部の理念に基づき構成される、「ランゲージ」「国際交流・観光」の2専攻の理念及び教育目的は、次のとおりである。

 ランゲージ専攻は、言語・文化を深く理解するとともに、実践的な言語活用能力を兼ね備えた人材の育成を目的とし、英語、中国語、韓国・朝鮮語の語学スキル、日本語を母語としない人への日本語教授法を身につけるための教育研究を行う。

 国際交流・観光専攻は、広い視野と柔軟な思考力とともに、地域社会・地域観光、国際社会・国際観光の発展に貢献できる実践力を兼ね備えた人材の育成を目的とし、国際交流や異文化への理解とスキル、観光に関する幅広い知識やホスピタリティの理解及びそのスキルを身につけるための教育研究を行う。

ビジネス学部

 ビジネス学科は、グローバル化が進む現代社会において活躍しうる実践的専門性を備えたビジネスパーソンを育成するため、ビジネスに関する諸分野の教育研究を行うことを目的とする。この目的に基づき、学科のもとに「現代ビジネス」「グローバルビジネス」の2専攻を置く。

 現代ビジネス専攻においては、マーケティング、経営戦略、企業会計などの専門知識を身につけ、新しいビジネスの価値を創造できる人材、及び事業運営のサポートができる人材を育成するための教育研究を行う。

 グローバルビジネス専攻においては、国際経済、国際金融などの専門知識を英語と日本語のバイリンガルで身につけ、それらをグローバルなビジネスの現場で実践できる人材を育成するための教育研究を行う。

グローバル・コミュニケーション学部

 グローバル・コミュニケーション学科は、常に変化する国際社会を理解し、国内外の様々な事象を意識し、グローバルな視点を持てるようになるため、英語運用能力と幅広い教養を身につけるために必要な理論的、実践的な教育研究を行う。

大学院の目的

文化創造研究科

 文化創造専攻は、高度の専門的学識の獲得と総合的な文化創造の両立を目指す。
 現代社会が要請する科学技術と精神文化との融合のあり方について、文化創造という観点から思索し、凝視し、発見し、提案していくことが、本研究科の使命である。そのために、人間の創造活動を幅広く捉え直して、文学(国文学専修)、図書館情報学(図書館情報学専修)、情報デザイン・システム(情報デザイン・システム専修)、文芸(創作表現専修)、メディア(メディアプロデュース専修)、造型デザイン(建築・インテリアデザイン専修)に関わる分野を統合して1専攻とする。広義における表象文化を対象に、各専修の専門的な研究を深めるとともに学際的研究視野をも身につけ、もって高次元の創造的表現を追究することを教育目的とする。

教育学研究科

 発達教育専攻(修士課程)は、新しい時代の教育に対応できる教員をはじめとする教育界の指導的人材の育成を目指す。そのため、人間の発達及び教育に関する幅広く高度な専門的知識を修得し、それに基づいて、問題を論理的に分析し考察する研究能力を身につけるとともに、子ども一人ひとりの特性に応じたきめ細かな指導を行うことができる卓越した実践能力を培うことを目的とする。

心理医療科学研究科

 心理医療科学専攻は、心理学、臨床心理学、社会福祉学、言語聴覚学、言語聴覚障がい学、視能訓練学、視能矯正学及びスポーツ・健康医科学に関する学問分野について、それぞれ高度な専門性をもって、社会の多様な専門分野における研究開発や実践活動に活用できる人材を育成するため、これらの異質でありながら相互に関連しあう諸分野の協働を視野に入れた教育研究活動を行う。

グローバルカルチャー・コミュニケーション研究科

 グローバルカルチャー・コミュニケーション専攻は、「言語文化コース」・「交流文化コース」の2つのコースを有機的に連携させることにより、学際的そして実用的な言語の運用能力を重視し、社会科学的な情報分析能力に裏打ちされた実行力で、グローバル社会で研究・実践する人材の養成をめざしている。

ビジネス研究科

 ビジネス専攻博士前期課程は、企業等の実社会で活躍しうる問題解決能力を備えたビジネスパーソン、高度に専門的な職業人としての資格取得者、あるいは博士後期課程への進学者等となりうる人材を育成するための教育研究を行うことを目的とする。この目的に基づき、2つの専修「アカウンティング」「マネジメント& エコノミー」を置くとともに、2つの修了要件「専門的職業人コース」「研究者養成コース」を設ける。

 ビジネス専攻博士後期課程は、ビジネスの各領域に関わる、学問の発展・向上に寄与できる研究者もしくは特に高度な専門的知識を有する職業人を育成するための教育研究を行うことを目的とする。