式辞

令和4年度入学式 学長式辞

 新入生の皆さん、ご入学おめでとう。教職員一同、皆さんを心から歓迎いたします。
 本来ならば、この国際会議場ですべての新入生の皆さんとともに、皆さんを支えて来られたご家族の方々をお迎えして晴れの式典を歓び合えるはずでした。しかしながら、勢いが衰えたとはいえ、新型コロナウイルスの感染拡大が完全に終息したわけではありません。この事態を慎重に踏まえて、新入生の皆さんのほかに、出来る限り参加人数を抑えた来賓、教職員によって、この式典を短時間で開くことになりました。感染終息の春はすぐそこに来ているかも知れません。それまで、いま少し私たちは冷静に、そして忍耐強く自他と社会を守って行くことにしましょう。新学期が始まろうとしていますが、冷静さや忍耐力を必要とする日々は続くでしょう。私たち教職員も出来るかぎりの努力を傾ける覚悟でおります。どうか新大学生となった皆さんも、新しい日々に社会的責任と緊張感をもって挑んでください。


 さて、限られた時間の中で、学長として皆さんに必ず知っておいてもらいたことをひとつだけ申しましょう。愛知淑徳大学の学生教育を支える基本的な考えかたについてです。それは「違いをともに生きる」という考えかた、もう少し抽象的にいえば「違いをともに生きる」という理念です。この理念は大学全体を支えるだけではなく、本学を構成する九つの学部のカリキュラムにも、その教育目標にも反映されております。「違いをともに生きる」という理念は、難しくいえば、多文化共生という思想にも通じますが、簡単にいってしまえば、男女の違い、年齢の違い、民族の違い、国籍の違い、生活文化や言語の違い、心身の障害のあるなしの違い、そういった人間相互がもつ違いを正しく認識し、フェアに理解し、ともに生きていく智慧や姿勢を積極的に身につけようという取り組みです。


 例えば、ここに一同に会した皆さんの中には、心理学を学ぼうとしている学生がいます。あるいは建築を学ぼうとしている学生もいます。しかし、大学が願っているのは、心理学を学ぶ学生にも、建築学を学ぶ学生にも、それぞれの専門を通して「違いをともに生きる」ということを具体的に考えて行ってほしいということです。私たちはこの理念を常に念頭に置いて、皆さんの四年間の学習や学生生活を見守りたいと思っています。「違いをともに生きる」という理念の実現に必要なのは、いうまでもなく非人間的な偏見や根拠のない先入観を乗り越える人間としての高い知性にほかなりません。私は皆さんに、自分とは「違うもの」「異なるもの」の理解や交流を通して、知的な人間としてのトレーニングを積んでほしいと思っております。


 「異なるもの」「違うもの」を理解し交流しようとする努力の中で、皆さんには、人間の抱く喜びや苦しみや悩みや怒りといった様々な心の動きへの深い想像力や共感の力もおのずから備わってくるはずです。大学の四年間は、そういう気づきや学びに専念できる特権的な人生の時間であるといえるでしょう。この時間を大いに活用し、知的であると同時に、情緒的にも豊かな学生生活を送られることを期待しております。同時に新型コロナウイルスの感染拡大が一日も早く終息し、穏やかな日々がもどることを心から祈ってやみません。

令和4年4月2日

愛知淑徳大学 学長 島田修三