学長室
2011年4月から学長に就任いたしました。その本格的な準備に入っていた3月の半ばに東北地方太平洋沖地震が起こり、戦後60年余り、われわれ日本人が経験したことのない凄惨な災害となりました。まずは被災地の皆さまにお見舞いを申しあげると同時に、一日も早い復興を心からお祈り申しあげます。本学にも東北地方出身の学生が在籍し、新入生も迎えております。こうした学生たちには、大学として出来るかぎりの支援をする決意でおります。
本学は創立36年ほどの、人間でいえば壮年期にさしかかった若い大学ですが、母体である愛知淑徳学園は愛知県で最も長い伝統をもつ私立校として地域の厚い信頼を積み上げてきました。この伝統と信頼を背景にして、先進的な教育的試みと実践をいちはやく果たし、8学部11学科4専攻、大学院8研究科を擁する総合大学としての発展を遂げました。この発展を支えたものは、学園の教育方針「十年先、二十年先に役立つ人材の育成」、そして本学の「違いを共に生きる」という教育理念にあります。時代を見通した新しい学部の増設、新しい教育体制の実施を貫いてきた背景には、学園教育方針の確固たる支えがあります。
また、伝統的な国文学科などをもつ文学部を創立以来変わらず擁しつづけ、先端的な人間情報学部、健康医療科学部、メディアプロデュース学部といった新しい学部を果敢に配置していった背景には、「違いを共に生きる」という大学の教育理念が息づいております。多様な学問専攻領域を配することによって、学生のみならず社会の幅広いニーズに応え、多様多彩な人材の育成を考えているのです。この理念は各学部の専門領域を超えて、多様な領域に学生の知的好奇心や人間的関心を導く全学共通のカリキュラムにも及んでおります。「違いを共に生きる」という理念による本学の教育は、男女・国籍・年齢・文化・障がいの有無などさまざまな相違を乗り超え、異なるものの価値や意味を知的に理解し、親和的に共生していく豊かな人間力の養成をめざしているのです。
新しい年度が始まり、学生の皆さんには意欲的な大学生活を期待してやみません。同時に、新学長である私も大学教育のより優れたありかたを模索し、そのための学びを積んで行こう、と気持ちを新たにしております。