医療貢献学科 視覚科学専攻
「視能訓練士」は、眼や見え方に関するさまざまな症状の検査・評価をおこなう他、弱視や斜視の訓練に携わるなど、視覚障がいのある方を支えるスペシャリストです。本専攻では国家資格取得をめざし、知識・技能を修得するだけでなく、新たな検査や訓練方法を研究するための科学的思考を養い、この分野をリードできる人材を育成します。
身につく力
- 視能訓練士として特性に応じて視覚障がいのある方を支援する対応力
- 眼科臨床の専門家として必要な専門知識・技法とコミュニケーション能力
- 新しい検査や訓練を開発するための専門的な知識と科学的思考力、問題解決能力
視覚科学専攻の特色
「視能訓練士」の国家試験
受験資格が取得可能卒業と同時に視能訓練士の国家試験受験資格が得られます。超高齢社会を迎え、視能訓練士の需要はますます高まり、チーム医療の一員として活躍の場も広がっています。
「見る」ということを
科学的に学ぶ医学的な知識だけでなく、「見る」仕組みを解明する視覚科学系の心理学科目も学修。自然科学に基づいた理論的な思考力を養い、この分野をリードできる人材を育成します。
多くのエキスパートから
生きた知識を修得眼科医、視能訓練士、生理学者、心理学者などの専門家が授業を担当。毎年12月には東海視能訓練士研究会を主催するなど、現場の声から学べる機会も豊富に用意しています。
視覚科学専攻の魅力
体験・経験から理解につながる学び
実習
高い臨床能力や豊かな人間性を養う現場実習。
実習レポート学外実習を経験して詳しく読む
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患者さんの表情や返答をくみ取り、その方に合わせた対応が大切だと感じました。
松下 美早希さん
健康医療科学部 医療貢献学科 視覚科学専攻 2024年度卒業(静岡県立袋井高等学校 出身)
実習先
総合病院聖隷三方原病院、海谷眼科、愛知医科大学病院、田辺眼科クリニック
臨地実習では、性質の異なる4つの施設で多様な現場を経験することができました。実習を通し大切だと感じたのは、患者さんにわかりやすく伝えることです。患者さんの表情や返答を通して確認をおこないながら、言葉選びや声のトーン、強調するポイントなどを一人ひとりに合わせて変えることで、スムーズに検査を進められるようになりました。また、その時の検査だけでなく、前回の結果や他の検査結果を確認しながら検査結果の整合性を考えることができるようになり、検査一つひとつの重要性を実習で感じるなど成長を実感。現場だからこそ得られる気づきや学びがたくさんありました。
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医療現場で考え、行動することで対応力が身につきました。
山越 聖菜さん
健康医療科学部 医療貢献学科 視覚科学専攻 2023年度卒業(長野県立木曽青峰高等学校 出身)
実習先
信州大学医学部附属病院、独立行政法人地域医療機能推進機構中京病院、医療法人いさな会中京眼科
4年次の学外実習では、患者さんへの接遇を間近で学びました。実習先では、車いすに乗った方や白杖を使って歩く方などさまざまな患者さんがいらっしゃいました。最初はどのように声をかけたら良いのか不安もありましたが、指導してくださった視能訓練士の方からアドバイスをいただき、その時の状況に合わせて伝え方を工夫しながらお声がけをすることができました。検査室に誘導する際には患者さん一人ひとりの状況を読み取りどのように対応をしたら良いのか、検査室の様子を見てどのような行動をすべきかなど、ひとつ先まで考えて行動する力が身につきました。
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実習での経験から状況を見て行動する力が身につきました。
服部 真奈さん
健康医療科学部 医療貢献学科 視覚科学専攻 2022年度卒業(名古屋市立緑高等学校 出身)
実習先
藤田医科大学病院、岡崎市民病院、田辺眼科クリニック
3年次の学外実習では、診察や検査の見学の他、患者さんに対して実際に検査をおこないました。検査はとても緊張しましたが、指導してくださった視能訓練士の方の手技やコミュニケーションの取り方を見習い、取り組みました。実習の中で患者さんから「とっても上手。丁寧に検査してくれてありがとう」という言葉をいただけたことはとても嬉しく、印象に残っています。実習を通して成長したことは、患者さんの安全への気配りです。検査技術はもちろん、検査室への移動や検査中など、周りの環境や状況を見て行動する力も身につきました。今後も医療現場で即戦力となれるよう、実技をさらに磨きたいと思います。
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患者さまと接し、医療とは人と人との関わりであることを再認識
後藤 菜々美さん
健康医療科学部 医療貢献学科 視覚科学専攻 4年生(愛知県・私立東邦高等学校 出身)2020年度
実習先
医療法人 安間眼科 / 愛知医科大学病院
実習先は普段接する機会がない高齢の患者さまが多い病院で、話しかける声の高さや検査室への誘導の方法など、知識や技術以外にも多くを学びました。実習中でも新しい検査手法を覚えるなど学修は続き、学んだ検査を担当させていただけた時には自信が芽生えました。一方で患者さまが途中で検査を投げ出してしまうという事態に遭遇。体調が優れず、検査が負担になっていたようでした。検査や病気への知識はもちろん、相手の気持ちをくむコミュニケーションも磨いておくべきと気づいた実習でした。
ミニ眼科 - 眼のイベントを実施し、実践力を磨く
臨地実習を経験した3年生が主体となり、大学祭『淑楓祭』で毎年実施しているミニ眼科。本専攻の学生が10年以上前から代々受け継いでいるイベントです。教員による指導のもと、学生がおこなっても問題のない視力検査、視野検査、眼底検査などを実施しています。学生は日々の学修成果を発揮しながら、眼の大切さや定期検査の重要性などを来場者にわかりやすく説明。視能訓練士をめざすための実践的な学びの場になっています。
施設・設備詳しく読む
13号棟の本専攻の専用フロアには検査技術を実践的に修得できるよう、医療の現場と同等の検査機器・設備を充実させています。屈折・視力をはじめ、視野、眼底、色覚を検査する教室を設けています。また、視覚障がい者のケアを学修するためのロービジョン訓練室や視覚情報処理を学修する心理物理学実験室なども整備しています。
OCT(光干渉断層計)
視力表
眼底カメラ
動的視野計
前眼部解析装置
先輩から聞く学科(専攻)のこと在学生・卒業生の先輩が、学びのことを教えてくれます。詳しく読む
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卒業生
西村 あかねさん
健康医療科学部 医療貢献学科 視覚科学専攻 2018年度卒業
(愛知県立名古屋南高等学校 出身)
勤務先:医療法人いさな会中京眼科Q 印象に残っている学びや授業内容は?
視野検査・眼底写真撮影などの実技の授業や練習が印象に残っています。今では簡単な動作でも、初めて学んだ時はとても難しく、隙間時間に繰り返し練習しました。技術を習得するのは大変でしたが、同じ道を志す友人と切磋琢磨したことは、今となっては楽しかった思い出のひとつです。また、錯覚や視る面白さ、不思議さに興味を持ち、視覚心理学に関するゼミを選びました。「運動誘発盲」という錯視現象を用いた視覚特徴検出についての研究では、実験計画を一から考え、得られた結果を解析し論文を執筆しました。自分でプログラムを組んで実験用の動画を作成するのは、上手くいかず苦労しましたが、思い通りに動いた時は達成感を覚えました。論文発表会では、研究内容をまとめた資料を作成して発表し、最優秀プレゼン賞をいただきました。仕事の中でも学会で論文を発表する機会があり、ゼミで取り組んだ経験が役立ちました。
Q 仕事のやりがいを感じる時は?
現在は、医師の指示のもと、屈折・視力検査などの基本的な検査をはじめ、眼鏡やコンタクトレンズの処方、視野検査や斜視弱視検査など、あらゆる検査機器を駆使しながら眼科業務をおこなっています。その他にも白内障手術をする方の眼内レンズ選択や、ICL手術をする方の術後の見え方を決めることなど、一方的に検査をするだけではなく、患者さんと相談しながら決めていくような内容の業務もおこなっています。病気によっては手術すれば治るものばかりではありませんが、手術でよく見えるようになった患者さんの喜ぶ姿や、視力が良くなり表情まで明るくなられた方の様子を見られた時には、とてもやりがいを感じました。眼科の治療法をはじめ、眼内レンズにおいても新しいものが次々に開発されるなど、学ぶこともまだまだ多くあります。向上心を大切に、これからも真摯に患者さんと向き合っていきたいです。
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より正確な検査をめざして日々、磨かれる現場力。その根底にあるのが大学での学びや経験です。
卒業生
戸嶋 倖大さん
健康医療科学部 医療貢献学科 視覚科学専攻 2021年度卒業
(愛知県立一宮南高等学校 出身)
就職先:近畿大学病院視能訓練士として病院に勤務し、視力検査をはじめとした眼科検査を担当しています。病院には、多くの患者さんが訪れますが、年齢も症状もさまざま。そこで日々磨かれているのは、専門職として求められる検査のスピードと正確さです。検査の結果は診断や手術に直接影響するため、疾患や症状によって、眼のどの部分を検査すべきかなどを素早く判断しなければなりません。入職当初は検査に手間取ることもありましたが、多くの検査を重ねることで患者さん一人ひとりの症状に合わせた、より正確な検査ができるようになってきたと実感しています。
こうした現場で活きる力の根底には、大学での学びや経験があります。視能訓練士として必要な専門知識の学びや学内外での実習が、視力の測定手順を考え、おこなう業務の基礎となり、症例を考える際の土台にもなっています。毎日、複数回おこなう検査であっても責任を持って取り組み、疾患によって考えて検査をするよう心がけています。
すべての検査に責任を持って取り組み、患者さんの症状が改善されていくことが仕事のやりがいです。以前、斜視手術のための術前検査を担当した患者さんが術後に状態が大きく改善し、笑顔になる様子を見て、とても嬉しく思いました。
現在はまだ視能訓練士の先輩にご指導いただくこともありますが、これからも検査の精度を高め、ゆくゆくは眼の研究に興味を広げ、眼疾患の改善に貢献していきたいです。
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卒業生
加賀 愛梨さん
健康医療科学部 医療貢献学科 視覚科学専攻 2021年度卒業
(愛知県立杏和高等学校 出身)
就職先:近畿大学病院Q 大学ではどんなことを学びましたか?
視能訓練士に必要な専門的知識を修得し、学内・学外実習を通して実践的な手法を学びました。
学外実習で訪れた病院には子どもの患者さんも多く、年齢や症状に合わせた関わり方が求められました。幅広い年齢に応じた検査や対応の方法は学内実習では学ぶ機会も少ないため、とても良い経験になりました。また、大学では同じ視能訓練士になる目標を持つ仲間同士で、わからないことがあれば確認し合ったり、先生に質問したりしながら切磋琢磨し学びを深めました。在学中の経験は、今の仕事にも活かされています。Q 仕事をする上で大切にしていることは?
患者さんをはじめ、他の医療従事者などに対しても一人ひとり丁寧に対応することを大切にしています。
勤務先の病院には、幅広い年齢層の患者さんがいらっしゃいます。なかでも、高齢の患者さんや歩行に危険を感じる方には、座るまで安全な誘導を心がけています。また、業務を円滑に進めるために、周りをよく見て行動し、積極的にコミュニケーションをとることや、医師や看護師、他の視能訓練士との連携も大切にしています。Q 仕事のやりがいを教えてください。
患者さんから感謝の言葉をいただくことがやりがいにつながっています。以前、蛍光眼底造影検査を担当した時に、「検査が不安でしたが、視能訓練士さんや看護師さんのおかげで安心して検査を受けることができました」とお礼の言葉をいただいたことが心に残っています。
今後も知識や経験を積み重ね、信頼される視能訓練士として、地域医療に貢献したいです。
4年間の学び(2025年度)
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PICKUP!科目詳しく読む
心理実験法演習1
視覚に関する基礎的な実験を実施し、統計学を用いた分析をおこなうことで、視覚機能の仕組みを理解し、それらに関する研究法の実際について学びます。人間の感覚・知覚、特に視覚、聴覚、触覚の機器に重点を置き、心理物理学的測定法の諸技法を修得します。
視覚心理学1~3
色感覚、色知覚および空間視知覚の諸視覚現象、視覚系の構造と時空間特性、明暗の知覚、形の知覚、運動の知覚などについて学修。また、関連する心理学的現象や実験データを通して、視覚の心理物理学的特性やメカニズムについて理解を深めます。
視能矯正学実習1~3
実習を通して知識・技術の定着を図ると共に、臨床スタッフとして適切な行動が取れるように、臨床において留意すべき点を学びます。検査の目的と方法を理解し、自信を持って検査できるよう、検査結果の記載法や評価について理解を深めます。
ロービジョン医学演習
ロービジョン(低視覚)の視覚科学的特性や評価方法、援助方法、拡大補助具の選定方法、関連する福祉制度などについて学修。模擬ロービジョン外来を実施し、ロールプレイを通して、見え方に応じたリハビリテーションの方法論を修得します。
資格・免許
取得できる資格・免許
- 視能訓練士(国家試験受験資格)
視能訓練士国家試験合格率
2024年度 97.4%(合格者38名/受験者39名)
就職
主な就職実績
【北海道】
- 旭川医科大学病院
【関東・甲信越】
- 井上眼科病院
- 杏林大学医学部付属病院
- 慶應義塾大学病院
- 甲府共立病院甲府共立診療所
- 埼玉医科大学病院
- 東京医科大学病院
- 東京大学医学部附属病院
- 日本医科大学付属病院
【東海・北陸】
- 愛知医科大学眼科クリニックMiRAI
- 愛知医科大学病院
- あいち小児保健医療総合センター
- 安城更生病院
- 梅森たかせ眼科
- おおさわ眼科
- 岡崎市民病院
- 海谷眼科
- 春日井市民病院
- 蒲郡市民病院
- 刈谷豊田総合病院
- 川本眼科
- 眼科杉田病院
- 眼科三宅病院
- 木沢記念病院
- 岐阜県立多治見病院
- 岐阜大学医学部附属病院
- 岐阜ほりお眼科
- 国立長寿医療研究センター
- 小牧市民病院
- 静岡県立総合病院
- 静岡済生会総合病院
- 静岡赤十字病院
- 市立四日市病院
- 鈴鹿厚生病院
- 聖隷浜松病院
- 聖隷三方原病院
- 総合上飯田第一病院
- 大雄会第一病院
- 田辺眼科クリニック
- 中京眼科
- 中京病院
- 中日病院
- 東海光学
- トーメーコーポレーション
- 富山大学附属病院
- 名古屋アイクリニック
- 名古屋市立大学医学部附属東部医療センター
- 名古屋市立大学病院
- 名古屋大学医学部附属病院
- 成田記念病院
- 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院
- 日本赤十字社岐阜赤十字病院
- 浜松医療センター
- 福井県済生会病院
- 福井大学医学部附属病院
- 藤田医科大学岡崎医療センター
- 藤田医科大学病院
- ほんじ眼科クリニック
- 松波総合病院
- 三重北医療センター菰野厚生病院
- 三重大学医学部附属病院
- 名鉄病院
- 名東眼科
- 安間眼科
【近畿・四国・中国・九州】
- 大阪大学医学部附属病院
- 京都大学医学部附属病院
- 近畿大学病院
- 滋賀医科大学医学部附属病院
- 多根記念眼科病院
- 長崎大学病院
- 兵庫医科大学病院
- 福岡国際医療福祉大学
- 洛和会音羽病院 他
ゼミナール(2025年度)
稲垣 尚恵 | ゼミ | 「見る」「見える」を考える |
川嶋 英嗣 | ゼミ | 視覚障害と視覚科学 |
高橋 啓介 | ゼミ | 視覚の心理物理学的研究 |
高橋 伸子 | ゼミ | 視覚の実験心理学 |
田邊 宗子 | ゼミ | 視機能検査と眼科領域の画像診断 |
野上 豪志 | ゼミ | 幾何光学・眼光学・波面光学 |
望月 浩志 | ゼミ | 視機能評価の温故知新と新手法 |
学生たちの研究テーマ例
- 視力と視線ならびに明るさ条件が重心動揺へ及ぼす影響
- コントラスト感度測定ゲームアプリの試作
- 色立体視の知覚量におよぼす背景色の効果
- 選択的注意が及ぼす運動残効持続時間の短縮効果
- 頭位傾斜がOCT乳頭サークルの結果に与える影響
- 視覚情報の制限が歩行に及ぼす影響